山田です。
今週発売のジャンプでハイキューが「終章へ」というキーワードとともに中間カラーで掲載されました。
どうしてもネタバレ調にはなるけど、全部は言わない方向で今日は漫画「ハイキュー!!」の魅力を改めて見直したいと思います。
ワンピース(94巻)に1から手がでない人もハイキュー!!は既刊40巻なので、ぜひ最初から読んでほしいです。
- 漫画ハイキュー!!の魅力:①絵が上手い
- 漫画ハイキュー!!の魅力:②洗練されたマーケティング
- 漫画ハイキュー!!の魅力:③スラムダンクを踏襲している
- 漫画ハイキュー!!の魅力:④キャラクターへの共感
- 漫画ハイキュー!!の魅力:⑤部活モノ=王道×感動
- 漫画ハイキュー!!の魅力:まとめ
漫画ハイキュー!!の魅力:①絵が上手い
ハイキューが始まったのは始まったのは2012年。
バレーボールを題材にした漫画はとても新鮮だった。
僕はスポーツ漫画で大切なのは、ズバリ「迫力」だと思う。
ハイキュー!!の場合はそもそもその迫力がパーフェクトだった。
最初から絵が上手い漫画って、実は多くないんですよね。
作者の古館春一先生はもともとジャンプ漫画家で、これがデビュー作ではない。
前作「詭弁学派・四ツ谷先輩の怪談」も良い絵柄だった。
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強くてニューゲームは漫画の世界でも有効だった。
新連載で絵が上手で見やすいのは漫画にとってマイナス面は一つもない。
間違いなくスタートダッシュの要因になったはずだ。
しかも最近は絵に磨きがかかって、
・敢えて細かく描写しない
・敢えて雑に描く
・敢えてデフォルメして描く
などなど、さらに凄みを増した。
漫画ハイキュー!!の魅力:②洗練されたマーケティング
漫画が始まった当初、男子も女子もとにかくみんなすぐにハマった。
マーケティング面から見てみよう。
分野選択で成功。
全国高等学校体育連盟の統計情報だと、
男子バレーボール部員数は46,712人(2018)。
ちなみに女子は60,333人。
さらに春高やワールドカップではジャニーズが応援し、女子が大挙して駆けつける。
若者のパイを取り合う中で10万人以上規模のマーケットだ。
ハイキュー!!が始まったとき、バレーボール漫画の代名詞は正直無かったといっていいと思うので、市場の穴場中の穴場といえる。
マーケット開拓はとにかく先物市場。
これだけの市場に気づかなかったのか、それとも描写自体が難しいのか。
とにかく、題材をバレーボールにしたこと自体がマーケティングの明だったと言える。
「あざとさ」を見せない強かさ
漫画アニメ文化を考えたときに、現代日本では作品の人気と同人性は切り離せない。
その世界にハマる人が多いほどコンテンツ化は避けられない。
このときのターゲットは主に女性だ。
端的に言うと腐女子。
マーケットが盛り上がるならBL夢想は大いに結構だ。
熱狂的ファンは経済価値とバズを生み、コンテンツ化に拍車をかける。
- 男子同士の友情、確執
- 先輩・後輩の熱い絆
- それでいてかわいい女の子が登場(でも主要人物は恋愛そっちのけ)
- しかもあざとくない!これが大事。
古館先生は腐女子のこの辺りのフォローまで考えているのだろうか。
漫画ハイキュー!!の魅力:③スラムダンクを踏襲している
スラダンの影響
ハイキュー!!は、バレーボールに非常にストイックに取り組む男子が描かれる。
身体能力の凄さは描かれているが、超能力的必殺技はない。
たとえば速攻(変人速攻クラスも)はプロや高校生の試合で見られるし、フローターサーブも、エースがレフトなのも全部リアルといえばリアルだ。
つまりキャプテン翼や昭和野球漫画などではなく、リアルスポ根作品を制作する際に意識していることになる。
そのようなジャンプ作品は何かと言えば、金字塔、スラムダンクなのだ。
明らかにキャラや脚本では意識
- 主人公の同チーム内ライバルは黒髪でザンギリのおかっぱ
- 2年生の先輩はスタイリッシュ
- 3年生の主力は最初チームに合流していない
- 及川≒仙道(宿命のライバルチームリーダーはイケメン)
- 最初の練習試合や大会は負ける
- おっさん監督たちが実は同級生的存在
というように数えきれない。
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成功した作品に倣うことは間違いない。
もし僕がスポーツ系の作品を作ったとしたら、スラムダンクはリスペクトする対象に必ず入るだろう。
ハイキュー好きでスラムダンク好きのデータも調べてみたいところだ。
ということは今後の展開は、、、。
ちなみに意識しているのがなぜジャンプの作品なのかというと、
1、当然ハイキュー!!がジャンプ作品だから
2、ヒット作を作るためのノウハウが蓄積されているから
という理由です。
脚本面で意識しているということは、引き際もつまり。。。
漫画ハイキュー!!の魅力:④キャラクターへの共感
ここからは「共感」をキーワードに各観点からキャラクターを切り取る。
例1:条善寺学園マネージャー美咲華さん
かつてここまで女子マネにスポットライトが当たった漫画があっただろうか。
ただの賑やかしやお飾りではなく、女子マネージャーをしっかりと描いてる点に作品としての魅力を感じる。
美咲さんは同学年が引退してもヤンチャな後輩チームを支え続けた。
実際にこういうマネさんはいると思う。
いなかったとしても、ただプレーヤー視点だけでないところにこの漫画の「部活」への感度の高さを感じずにはいられなかった。
例2:2m の百沢雄大や木兎光太郎
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ここで拾った二人は持ち味こそ違いますが、
バレーボールの才能という意味ではズバ抜けた2人だ。
他にも「稲荷崎の双子」「鴎台の小さな巨人」など、スター性あふれるスーパープレイヤーが数多く登場する。
ただ、その誰もが例外なくドラマを抱えている。
例えば百沢雄大はバレーボール経験が浅く技術が拙い。
例えば木兎光太郎はまっすぐ過ぎる情熱をなかなか理解されなかった。
ハイキュー!!の一人一人を深掘りしていく群像劇スタイルは、「読者の共感度を高めるシステム」と言い換えてもよいと僕は思う。
例3:白鳥沢学園高校バレー部監督鷲匠鍛治
若者だけでなく年寄りだって意地がある、と教えてくれたのは白鳥沢監督の鷲匠だ。
30歳を超えた僕にとって近いのは、どちらかといえば選手の高校生よりも先生サイドではないかと思う。
教育に携わる者として子供たちの可能性を信じている反面、「現実は」とか考えがちだ。
でも実際そんな大人の想定は、彼らには関係ないことだ。
そうやって軽々と大人の常識を超えていく彼らに触発されていった鷲匠監督の姿に共感した人は少なくないと思う。
パッションがロジックを超えたっていいじゃないか。
彼の姿はそのまま私たちの姿なのかもしれない。
例4:そして凡人・山口忠
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烏野高校で自分の殻を破って成長した人間の代表は、おそらく月島だろう。
悟り世代の代表格である彼のガッツポーズは、見る人みんなの胸を打った。
では、傍らで彼に寄り添い、自分で考え行動し、自分を変えるために常に己を鼓舞して声をあげていたのは誰か。
凡人、いや超凡人・山口忠だ。
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変人超人が揃う烏野高校の中で、体格に恵まれた訳でもない彼はフローターサーブという武器一つで己の価値を示した。
自分にできることを探した唯一解だったのだろう。
「自分にはこういう武器がある」と言える人は少ない。
「共感」という意味では、私たち凡人の代表である山口が、化け物揃いのコートの中で1点、また1点とサーブで点を取るその姿、そして影響される周囲の空気感、このあたりはハイキューの魅力が凝縮しているのかもしれない。
以上、キャラクター拾いでした。
漫画ハイキュー!!の魅力:⑤部活モノ=王道×感動
部活モノは王道
男子漫画のストーリー展開において、だんだん強いキャラが出てくるのが常だ。
どんな漫画も困ったらトーナメント大会が始まる。
部活の場合は市大会→県大会→全国大会と、強さのインフレが当たり前なので展開に困らない。
さらに、高校は星の数だけある。
つまりそれだけキャラクターが生まれるということだ。
やはり部活モノは少年漫画の王道なのだ。
先輩は卒業
当然高校の部活は引退するものだ。
最後の試合に負けると引退する。大会がなくても、誰でも、引退する。
感動するしかないでしょう。
ハイキュー!!も例外ではない。
およそ1ヶ月に1回、誰か引退するたびに泣いたのは何を隠そう私です。
漫画ハイキュー!!の魅力:まとめ
これまでまとめた通り
- 絵の技術
- マーケティングセンス
- バックボーンに選ぶ作品の的確さ
- 共感できるキャラクター作り
- ジャンプの王道路線
この5つです。
ということで今回はハイキュー!!の魅力をまとめました。
読んだことないという人は、絶対に読むべきです。
ちなみにアニメの作り込みも相当すごいです。
というかここ最近のジャンプアニメの仕上がりはすごい。
都大会はOVA、ハイキュー!!は4期が放送決定。
ますます盛り上がって佳境を迎える物語にも、期待したいものですね。