【感想】ソード・オラトリア12巻 ダンまち外伝・都市の破壊者完結編【ネタバレあり】
今回はダンまち外伝「ソード・オラトリア」第12巻の感想を書きつつ内容など解説していきます。
これまでの事件の総決算、闇勢力(イヴィルス)との暗闘がついに決着するロキファミリアの物語の完結編です。
アイズ、レフィーヤ、そしてオラリオの運命やいかに。
ということで期待大の第12巻感想です。
本記事はネタバレ記事となっていますので、未読の方はご注意ください。
↓今回の作品
では、目次です。
あらすじ
結論から言えば。
それは語り継がれることのない物語だ。
誰が勝ち、誰が負け、誰が生き、誰が死に、誰が吠え、誰が嗤い、誰が哭いたのか。そこに富と名誉はなく、倒れた者は歴史に名を刻むこともなく。誰の記憶にも残らぬまま、天の葬列に加わるのみ。
けれど、『彼女達』は臨むのだ。
巨大な悪に、邪悪極まる闇に。秩序のため、誇りのため、絆のため、『彼女達』は――冒険者達は最後の決戦に臨むのだ。「1000年の時を越えて、もう一度冒険者達が下界平和の礎となる!――ここに新たな神聖譚を記せ! ! 」
これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚】──(引用:『ソード・オラトリア12巻より』)
おすすめポイント
冒頭に書いた通り、今回は過去11巻にわたって描かれてきたロキファミリアと闇派閥の生き残りとの闘いの完結編となっています。
11巻では行動を共にしたフィルヴィスや神デュオニュソスが犠牲になるなどダイダロスでの立ち回りで完全に罠にはまり後手に回ったロキファミリアでしたが、今回はその敗戦後の復活、そして闇派閥の首魁で「都市の破壊者エニュオ」の正体が明らかになるところから描かれます。
ついに真相が明らかになるわけです。
また、最期の戦いではロキファミリアだけでなく、これまでの「ダンまち」の物語がすべて集積したような圧倒的なスケールでの戦いを見ることが出来ます。
レフィーヤやアイズの成長物語、そして白いアイツの冒険物語もすべてがクロスオーバーして駆け抜けます。
原作14巻と15巻の間をつなぐ、ダンまちファン必見の内容です。
ということで前置きはこれくらいにして内容に入っていきます。
ここから先はネタバレ注意です。
感想ネタバレ
明らかになる事件の真相
まずは事件の真相解明が序盤から中盤にかけての探偵物語。
前回の侵攻失敗で、ロキファミリアは非常に重い雰囲気が漂ってはじまる12巻。
「主犯(エニュオ)は果たして、デメテルか、、、!?」
神酒の話から、降って沸いたように感じられつつ、確かにデュオニュソスはこのソードオラトリアの冒頭からワインが好きだったよな~なんて思ったことが確かに僕にもありました。
敵の首魁エニュオ探しの中で、ワインの元になる葡萄を作る農業の女神・デメテルが犯人かこれでもかと思わせつつ、これがミスリード。
真相が明らかになります。
結論から言うと、エニュオは結局、デュオニュソスでした。
木を隠すなら森の中。
ロキの笠に隠れて悪行三昧だったのです。
まずはデメテルの眷属を捕らえて彼女を脅迫、都市外に追いやる。
デュオニュソスは天へ送還されたはず、と思わせて自分自身の死も別の神(ぺニア)を使い偽装。
自分のファミリアメンバーは事前に酔いつぶしてぺニアに改宗。
気が付いた敏い者はその場でフィルディスに打ち取らせるおまけつき。
その上でアリバイ作りであえてダイダロス進行時にぺニアを天に還し、自分の眷属を一般人に戻して血祭りにあげて侵攻軍の混乱も呼ぶ。
しかも自分自身にも暗示をかけて誰にも真実を気取らせない。
そんな圧倒的「悪」。
陰で眷属の死を喜ぶ極限の異常者だったのです。
しかも眷属フィルヴィスは「分身魔法」持ちで魔石持ちの不死身のクリーチャーだったことも判明。分身を回収後の実力は推定Level7。
愛するレフィーヤを助けるために殺すと嗤う掛け値なしの人格破綻者でした。
まさにカオス。
エニュオことデュオニュソスの狙いはダイダロスをモンスターのように変貌させ、地下深くの6体の「精霊の分身」を使い秘術をもって都市自体を爆砕、怪物たちを地上に跋扈させ阿鼻叫喚の地獄に変貌させることだという。
しかも15年計画。
しかしそんなことは天が許しても冒険者が許さないってもんですよ。
ラストクエスト開幕!
ロキファミリアは秘術への時間が迫る中、アミッドや椿など他派閥と連合、さらに水面下でゼノス達も参加させ、ダイダロス・クノッソス戦に再度挑みます。
フィルヴィスの死が偽装という情報をロキから得たレフィーヤも再起。
軍勢に加わります。
(結局先述のひどい真実を知ってフィルヴィスと戦うことになるのですが。。。)
一方闇派閥の暗躍で混乱する都市も冒険者全員、さらにギルド職員すらも駆り出して、救出や対抗措置に出ます。ギルド長ロイマンすらも汗をかいている姿がみられました。
これはもう総力戦です。
ロキファミリアは地下攻略で8つの戦闘局面を展開。
- フィン・シャクティ部隊vs精霊の分身
- リヴェリア部隊vs精霊の分身
- ガレス・椿部隊vs精霊の分身
- ティオナ・ティオネ部隊vs精霊の分身
- アナキティ部隊(ベートと分断)vs精霊の分身
- 異端児部隊vs精霊の分身
- アイズvs怪人レヴィス(Level7相当)
- ベート・レフィーヤ部隊vs怪人フィルヴィス(Level7相当)
「精霊の分身」は1体でも残すと秘術が発動、さらに時間制限つき。
奴らの超反則級の魔法攻撃にこれまでも苦戦を強いられてきたロキファミリア。
なかなか決め手を欠きます。
しかしここで、オラリオが誇る超助っ人軍団が参戦してくるのです。
全員参戦!オールスターバトル
それは外伝で以前登場したアマゾネス集団「カーリーファミリア」、
もう1つの都市最強「フレイヤファミリア」、
友軍として「アスフィ」「リュー」「アイシャ」、
そして我らが「ヘスティアファミリア」です。
まさに敵の敵は味方、
昨日の敵はとりあえず今日は友状態。
以下、それぞれ加勢します。
- アレン⇒フィン軍
- ヘディンとへグニ・ヴェルフ⇒リヴェリア軍
- ブリンガル四兄弟・命⇒ガレス軍
- オッタル⇒アナキティ軍
- アスフィ達・春姫⇒レフィーヤ・ベート軍
- ベル⇒発見されたデメテル眷属救出部隊
- リリ⇒フィンからリヴェリア、ガレス軍の指揮権をぶん取る
はぁ、最高ですね。
特にヘディンとリヴェリアのエルフっぽい会話とか、ガレス軍全体のやり取りとか、ものすごくスパロボっぽいオールスター感を感じます。
リリのフィン変身での指揮も素晴らしい本編回収でした。
ここまで読んできて良かったと思う読者は僕だけではないと思います。
しかし、激戦極める中でさらなる隠し玉、「7つ目の爆弾」の存在が発覚。
フィンの指示を受けた別動隊ラウル軍が実物を発見します。
勇者フィンの思考を絶望が蝕む。
誰か手が空いている奴はいないか!?
誰も行けない、動けない。
手が足りない。
詰んだのか。
誰かいないか、だれかーーーー。
いや、そうだ
彼ならば。
打ちひしがれるラウルの頭上、
飛んできたのはセイレーン。
空飛ぶゼノスに連れられて、やってきたのは白兎。
「僕がやります。」
白く輝く右手の光、
大きく鐘の音響かせて。
大鐘楼の響きは通信機を通じ、戦う全員に聞こえます。
「ベル、、!」「ベルだ!」「ベル殿!」
「あんの雑魚野郎!」「アルゴノォトくん!」
「フレイヤ様はご慧眼だった、やはり英雄の器だったか」
オッタルがフレイヤへの尊崇の念をつぶやく中、たった半年前にやってきた英雄の卵ベル・クラネルは最後の爆弾をフルチャージ英雄の一撃で跡形もなく消し去るのでした。
ということで、鐘の音に勢いに乗った全軍、我も負けずとボスを粉砕。
大歓喜の渦の中、ここに闇の大秘術は終焉したのでした。
というかベル君ここでも主人公しちゃってましたね。
ついにソードオラトリアのレベル違い、場違いすらもぶっ飛ばしたというか。
さすが主人公。
クロスオーバーっぷり熱すぎでした。
アイズとレフィーヤの戦い
最後、語るべきは2つの戦いです。
対怪人戦、ソードオラトリア主人公の2人アイズとレフィーヤの戦いです。
まずはアイズ。
アイズは自分のスキル「復讐者」を全開にし黒い風を身に纏って自壊も気にせず特攻します。
対するレヴィスは摩訶不思議空間と化した迷宮のモンスターをフル活用。
ほぼレベル7同士の頂上バトルを展開します。
一方のレフィーヤ。
序盤はレベル6のベートと共闘しても完全体フィルヴィスに手も足も出ません。
ベートもついに倒れます。
しかし参戦したアスフィ・アイシャ・リューと春姫のレベルブーストによって擬似レベル5カルテットを形成。
レイドスタイルでフィルヴィスを圧倒し始めます。激アツ。
アイズは無限に回復するレヴィスに耐久戦で追い込まれます。
闇堕ちしかけるアイズ。
その時、どこかで頑張るベルの鐘の音が、、、。
希望に満ちた白い風を纏い直し、レヴィスを圧倒。
ついに決着をつけるのでした。
時を同じく即席カルテットも徐々に怪人の強靭さに追い込まれ壊滅状態に。
その時、ダンジョンに来ていたレナの叫びでベートが再起動、春姫により擬似レベル7に。
さらにその時ここでも響くベルの鐘。
自分より弱い者が懸命に戦っているのに自分が斃れているわけにはいかない。
プライドがベートを突き動かします。
ベルとベートの関係も本編1巻からですから、ここも集大成感がありますね。
最後ベートはフィルヴィスの回復力を超えてダメージを与え、止めはレフィーヤ。
フィルヴィスの反射魔法で対抗し、剥き出しの魔石に刃を突き立て、フィルヴィスを殺す形で魂を救済。
長きにわたる戦いはここに終止符を打たれたのでした。
まとめ:レフィーヤの行方
最終的に闇派閥は全滅で冒険者軍の完全勝利ということでしたが、神ディオニュソスは嗤いながら自刃で天に還り、フィルヴィスは灰になり散りました。
ダンジョン攻略と違い対闇派閥は「対人間」。
結末は決して後味が良いものではありません。
激しい戦いの中でアイズはベルを見つけ安らぎを得ますが、レフィーヤは、、、。
というところで12巻は終了。
後書きにあるように「第1部完」ということでしょうかね。
それにしても嗚呼レフィーヤ。。。
ソードオラトリアの中での彼女は狂言回し。
アイズに憧れ、
ベルと愛憎入り混じる関係で、
リヴェリアに師事し、
フィルヴィスに振り回され、
ガレスとフィンには可愛がられ、
ベートに叱咤され、
という感じでしたが、この戦いで恐らくレベルも上がるでしょう。
大人の階段というか。
事情あれど親友と呼べる相手を自分の手でとなると、人生経験としてはベルの三歩くらい先を行った感じです。
アイズの方は本編でも絡んできそうなので、
外伝はレフィーヤの今後がメインになりそうですね。
個人的にはロキファミリアは抜けないでほしいですね。。
ということで第2部を座して待ちます。
今回はここまで
それでは
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